2008年11月26日水曜日

ネットカフェ難民救済に壁 支援センター開設半年

 ネットカフェなどに寝泊まりする不安定就労者の相談支援窓口「住居喪失不安定就労者支援センター(OSAKAチャレンジネット)」(大阪市中央区)が開設してまもなく半年を迎える。府民の善意が施策を支え始める半面、資金援助できない体制が課題として浮き彫りになっている。

 同センターは、厚生労働省の委託を受けた行政などが設置。大阪労働者福祉協議会が相談の主体となっている。

 五月中旬の開設から九月末までに相談があったのは八十七人。「ネットカフェ難民」だけでなく、家賃滞納者や野宿者のほか在宅者からの問い合わせもあった。

 このうちホームレスへの就労支援などを行う自立支援センターに十一人が入所。このほか住居の確保につながったのは二人で、ともに定職に就いた。この二人とは別に窓口への相談を機に就職できたのは二人だけだった。

 国の推計では大阪市だけで約九百人はいるとみられる「ネットカフェ難民」救済に向けた道のりは険しいのが現状だ。

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 定職につながりにくい理由について、大阪東公共職業安定所(ハローワーク大阪東)からの派遣相談員、李香織さんは(1)精神衛生面で問題がある(2)保証人や住居面で不安がある(3)募集企業と求職者の求める内容がかみ合わない-の三点の課題を挙げる。

 精神疾患の場合は病院につなげられるが、特に支援の手が限られているのが住居の問題。定職に就くには避けられない課題だが、金銭面で不安の多い不安定就労者が入居するのは容易ではないという。

 同センターの宮田明典相談員によると「仕事に就いて最初の給与をもらうまでの資金が問題。敷金や礼金、最初の家賃などが払えない」と指摘する。

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 一方、東京で開設されている「TOKYOチャレンジネット」では、四月下旬から九月末までに千六百十三件の相談があり、住居を得たのは九十三人に上る。

 都が予算を組んで実施した住宅貸し付け(最大四十万円・無利子)が功を奏した形だ。都の担当者は「住居を失ったのだから資金貸し付けは当たり前の話」と説明する。

 大阪では自治体からの貸し付けが財政難などで見込めない中、住居取得者が出たのは「善意」に支えられた結果だった。

 府内アパートの家主から三カ月無料などの条件で受け入れの提案があり、現在、二施設で二人が暮らしている。就職をめぐっても「善意」によるものが大きい。個人経営の飲食店などから細かな書類を必要とせずに受け入れる声が上がったためだ。

 宮田さんらは「まずは住居の確保を」と住宅貸し付けの支援を国に求める一方、今できる手段として「各支援施設に誘導していければ」と対応にあたっている。相談時間は平日の午前十時から午後八時まで。相談無料。問い合わせは電話0800(200)0656、同センターへ。

2008/11/05

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