――一方で、若者の「弱さ」「甘え」が、すぐに仕事を辞めて職を点々とするようなフリーターを生み出した、という意見もあります。
なんと言っていいのか難しい問題なんですけど。前にこういう事例がありました。5月に失業、相談に来たのは9月なんですが、その4ヶ月間の間に食べられなくなった男性でした。その間に、彼は3回就職しました。でも、3回の仕事をいずれも3日、3日、1日で自分から辞めてしまっているんです。食うに困っていて、仕事を探していて、実際に採ってくれるところもある。でもなんで辞めてしまうのか、ということですよね
彼に働く気がないのかというと、そうではない。そうじゃなきゃ3回も就職活動はしないわけで、だけど、続かない。「なんで?」と聞いたら、「仕事についていけると思わなかった」。そこがいわゆる「弱さ」の正体ですよね。
私はいつもこう言っているのですが、新しい仕事に就くということは、大変なことです。会ったことがない人たちと、やったことのない作業をやるってこと。多くの人はできると思うんですね。しかしやったことないんだから、そこには実は根拠がない。なんで根拠もないのにできると思えるのかというと、「今までやったことないことやらせてもらえた」「チャンスをもらえた」「やったことないことをやってうまくいってほめられた」といった「成功体験」みたいなものを過去に持たせてもらえた。だから、それを応用して「できる」と思えるんです。
逆に言うと、そういう経験に乏しい人にとっては、「できる」と思えない。本人にとってはこれが、大問題だったりするんですよね。
これは、自己責任論と絡むんです。病気で仕事に行けなくなって解雇されたというと、みんな「しょうがない」というんです。みんな実際に病気をしたことがあるから。「健康管理がなってない」と自己責任論で片付けることもできるはずですが、そう言って批判する人は多くはない。一方で、仕事のことになると、「お前が頑張らなかったせい」と自己責任論で片付けられる。多くの人にとっては「頑張ればできる」ということなんだろうけど、本人にとってはどうしても乗り越えられない。これも広い意味で「貧困」だと思うんですよ。つまり、「意欲の貧困」、精神的に「溜め」がないということなんです。
仕事をしても、生活できないひとがたくさんいる
登録:
コメントの投稿 (Atom)
ブログ アーカイブ
-
▼
2008
(36)
-
▼
11月
(28)
- ネットカフェ難民救済と称する出会い系
- 「定額給付金」ネットカフェ難民どう支給?
- 石原都知事は貧困・労働環境直視を
- 男子禁制ネットカフェ、大阪に登場 美顔器や健康器具も
- ネットカフェ難民救済に壁 支援センター開設半年
- 「ネットカフェ難民」転落 本当に若者の「責任」なのか5
- 「ネットカフェ難民」転落 本当に若者の「責任」なのか4
- 「ネットカフェ難民」転落 本当に若者の「責任」なのか3
- 「ネットカフェ難民」転落 本当に若者の「責任」なのか2
- 「ネットカフェ難民」転落 本当に若者の「責任」なのか1
- 広がる若者世代の貧困 「一回転ぶとドン底まで行く」3
- 広がる若者世代の貧困 「一回転ぶとドン底まで行く」2
- 広がる若者世代の貧困 「一回転ぶとドン底まで行く」1
- 反貧困キャラバン 垣根を越えて、再生のチャンス
- 反貧困キャラバン 全国を回る
- 垣根を越えてつながろう! 「反貧困 世直しイッキ!大集会」に2,000人
- 反貧困たすけあいネットがイベント
- 補正予算案 非正規雇用
- 「もやい」ピンチ 後援社破産、ホームレス支援困難
- 高級? ユニーク? "漫画喫茶"を超える漫画喫茶ってなんだっ!?2
- 高級? ユニーク? "漫画喫茶"を超える漫画喫茶ってなんだっ!?1
- 福祉現場の生の声伝える
- 派遣依存社会/下 広がる「貧困ビジネス」
- 派遣依存社会/中 契約期限切れ「09年問題」
- 派遣依存社会/上 「生産調整」で突然解雇も
- 日本と中国、青年たちの傾向
- 【個室ビデオ店火災】“個室店難民”、再起半ば絶たれた希望
- 盗み繰り返した“ネットカフェ難民”逮捕
-
▼
11月
(28)
マイブログ リスト
-
-
-
-
-
-
-
-
-
効果的に見せることと効果的に隠すこと15 年前
-
正直、踏ん張りどころでもあります15 年前
-
-
反貧困・御堂筋パレード16 年前
-
-
-
-
-
0 件のコメント:
コメントを投稿