2008年10月24日
明治公園には多くの机が並べられ、200食限定の無料カレーうどん、カンパや安価で提供される焼きとり、焼きいかなどがおいしそうな匂いを漂わせていた。「住まい」「食の危機」「労働」「社会保障」「女性と貧困」「多重債務・消費者問題」など12の分科会では、発言者のことばに人々が熱心に耳を傾け、また自分でもマイクを握り発言する。草の上には、路上生活者と思われる数人の男性が横たわり眠っている。この会場でなら、誰からも襲われる心配がない。
分科会のあとはSHINGO★西成さんのライブ。分科会報告。それから、湯浅事務局長による集会宣言。そして最後は、パレード。
(宣言文は以下から読めます。)http://d.hatena.ne.jp/hinky/20081019/p1
「ゴール地点、東京集会では何万人もの人を集めて、社会に大きなうねりを起こしましょう!」
7月のキャラバン出発式のとき、宇都宮健児代表は出席者たちに、そう呼びかけた。たしかにこの日、参加者の数は、「何万人」には届かなかった。しかし、集会に参加した人たち、パレードに参加した人たちのほとんどが、貧困問題の当事者たちだ。この国の貧困問題が改善されない限り、これから先、反貧困運動に関わってくる人たちが減ることはないだろう。
――考えてみれば、バブル期にすら貧困は存在していた。日雇い労働者は、いつでもいた。母子家庭は、ずっと貧しかった。路上生活者は、病院にもかかれなかった。障がい者は、世の中から疎外されていた。
ただ、社会の中でそれらの人々は少数派とされ、その声に人々が耳を傾けることがなかっただけだ。もしそうだとすると、中流家庭に育ち、4年制大学を卒業し、それでも貧困層に陥らざるを得ない人々が急増している今こそ、もしかしたらこの国にとっての、「なにか」のチャンスなのかもしれない。
多くの大人がバーチャルなマネーゲームに奔走し、学校や職場では陰湿なイジメが横行し、弱者や敗者への「自己責任!」の声が響き渡り、路上生活者や野良猫を少年たちが平然となぶり殺しにするような、この国にとっての――。
「日本の貧困をなくせぇ!」「世界の貧困をなくせぇ!」。暗くなっていく街中に、人々の声が和する。
「垣根を越えてつながろう」。ことばで言うのは、簡単である。しかし、これから先、私たちはどんな垣根を越えていかなければならないのか? 反貧困運動は続く。
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