2008年11月13日木曜日

反貧困キャラバン 全国を回る

 10月19日午後1時過ぎ。参加者2,000人の拍手とトランペットによるにぎやかなファンファーレに迎えられ、「反貧困全国キャラバン2008」の2台のキャラバンカーが、無事に明治公園にゴールした。7月のスタートからこの日まで、2つのキャラバンが訪れたのは全国48都道府県。計6,000人余りの人々が各地の集会に参加した。

 7月12日、悪名高い「北九州方式」発祥の地であり、3年連続で餓死者を出した北九州市から、西日本ルートのキャラバンはスタートした。もう1台の車で回る東日本ルートは翌13日、埼玉県さいたま市から出発。それぞれのルートを回った2台のキャラバンカーがこの日、明治公園で合流、大集会が行われた。

 キャラバンを主催した「反貧困ネットワーク」は、貧困問題に取り組む市民団体、労働組合、法律家、学者などが集まって作られた組織だ。人間らしい生活と労働の保障を実現し、貧困問題を社会的・政治的に解決することを目的に、2007年10月に発足した。参加団体は、自立生活サポートセンター・もやい、反貧困たすけあいネットワーク、しんぐるまざあず・ふぉーらむ、ふぇみん、首都圏青年ユニオン、派遣ユニオン、全国労働組合総連合、POSSE、明石書店など多数。まさに「垣根を越えてつながった」感のネットワーク組織である。

 この2つのキャラバンが全国を回っているあいだにも、社会では貧困問題に関連するさまざまな動きがあった。

 人材派遣会社最大手「グッドウィル」が廃業に追い込まれた。同じく人材派遣会社「フルキャスト」が短期派遣労働事業から撤退した。厚生労働省の諮問機関・労働政策審議会が、日雇い派遣原則禁止などの規制を含む「労働派遣法」改正のための建議をまとめた。女性の貧困問題のためのネットワーク組織、「女性と貧困ネットワーク」が発足した。サブプライム問題の余波で運営危機に陥った「もやい」が、活動に賛同する一般市民からの寄付金で、どうにか今年度を乗り切れることになった。

 ネットカフェ難民に関する発言をめぐり、稲葉剛「もやい」理事長が石原慎太郎東京都知事に公開質問状を出し、知事は発言を撤回した。「ゼロゼロ物件」が売り物の貧困ビジネスの代表格「スマイルサービス」を入居者5人が提訴した問題なども起きている。

 「もやい」事務局長の湯浅誠氏が「反貧困ネットワーク」の事務局長も務める。スマイルサービス提訴の弁護団団長は、同ネットワーク代表の宇都宮健児弁護士だ。ネットワーク副代表・赤石千衣子氏は「女性と貧困ネットワーク」の中心メンバーでもある。全国各地で起こっている“反貧困”の動きに、「反貧困ネットワーク」は大きく関わっている印象を受ける。

0 件のコメント:

ブログ アーカイブ

マイブログ リスト