2008年11月30日日曜日

ネットカフェ難民救済と称する出会い系

出会い系サイト規制法が改正され、12月から施行されるが、これに伴い「異性の紹介を反復的に行う業者」は届出登録が必要とされることとなる。

しかし、あくまで規制法である以上は抜け道は常に存在し、一例を挙げると「家出掲示板」というものが増加している。家出をした少女に宿と食事を提供するのであれば、異性紹介にはならないからだ。

そんな事情を反映して、国産スパムの大半を占める出会い系で、こんなスパムが出回り始めた。

(引用始め)
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親と喧嘩して2ヶ月近くネットカフェで暮らしてます(泣)日雇いのバイトで何
とか生活してるけど最近仕事無くてお金ない。今日もご飯食べて無い...。泊め
てとはいわないので誰かご飯だけ食べさせてください。

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ネットカフェ難民に愛の手を・・・。
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全国にネットカフェ難民が全国約5400人いる事を皆さんご存知でしょうか?

今や様々なメディアに取り上げられて社会現象になっています!!

なんと、そのネカフェ難民の4割が女性なんです!!

不景気なこの時代彼女達は思うように働けず、ひもじい思いをしています。

かわいそうな彼女達にご飯や泊まる場所を与えて頂けないでしょうか?
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(引用終わり)

もちろん、実態は出会い系サイトであり、かつ規制法の網をかいくぐって、巧妙に騙すメールであることは間違いない。
今後は、こうしたスパムが増えてくることが予想されるので、十分注意する必要があるだろう。

2008年11月29日土曜日

「定額給付金」ネットカフェ難民どう支給?

 政府の景気対策の柱である「定額給付金」について、弁護士らで作る「生活保護問題対策全国会議」(代表幹事・尾藤広喜弁護士)は17日、「ネットカフェ難民など本当に生活に困窮している人々に行き渡るのか」とする公開質問状を麻生首相あてに郵送した。
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 給付金は住民票に基づいて支給される予定で、同会議はネットカフェ難民やホームレスなど住民票の所在地に住居を持たない人々に、どのように支給するか尋ねた。

 さらに「給付金総額2兆円のうち2000億円もあれば、多くの人が安定した住居を得られるはずだ」とも指摘した。

 記者会見した尾藤代表幹事は「給付金が必要なのは低所得者層なのに、誰を支援するのかわからない」と話した。

2008年11月28日金曜日

石原都知事は貧困・労働環境直視を

 大阪市で起きた個室ビデオ店放火事件を巡り、東京都の石原慎太郎知事が今月3日の記者会見で発言した内容が波紋を呼んだ。

 「山谷(東京都台東区、荒川区)のドヤ(簡易宿泊所)に行ってごらんなさいよ。200円、300円で泊まれる宿はいっぱいあるんだよ。そこに行かずにだな、何か知らんけど、ファッションみたいな形で、1500円というお金を払って、そこ(個室ビデオ店)へ泊まって『これは大変だ、大変だ、孤立している、助けてくれ』っていうのも、ちょっと私は、人によって違うでしょうけど、総体にそれが何かカフェ難民なるものの実態とはとらえがたいね……」

 後日、石原知事は台東区長らの抗議を受けて「200円、300円で泊まれる宿はいっぱいある」という点は撤回したものの、10日の会見で改めて「『ファッション』という言い方をなさったことについて」と問いかけると「私はそう思っていますよ」と答え、見解は少しも変わっていなかった。しかし、労働現場の取材を続けてきた私から見れば、現代の労働者たちが「ファッション」で個室ビデオ店やネットカフェに泊まっているとはとても思えない。石原知事はもっと現実に目を向けるべきだ。

 山谷には江戸時代以来、全国から労働者が集まってきたが、バブル崩壊後、23区が簡易宿泊所を高齢のホームレスの住所として登録して生活保護を受給させるケースが増え、07年の都の調査では被保護者が簡易宿泊所利用者の67%に達した。こうした状況に合わせるかのように、宿代の相場は、各区が住宅扶助の上限として認める1泊2000円超に上昇した。

 また、新たな客層を求め、外国人客やビジネスマンをターゲットに3000~3500円のホテルに改装するところも多くなった。一部に1000円前後の宿も残るが、2段ベッドの相部屋で部屋数も少ない。

 「安いと聞いてきたけど結構キツイ」。山谷で出会った派遣労働者の男性(26)はそう漏らした。彼はアパートの契約更新料が払えずに家を失い、食品工場勤務の手取り7000円の中から1泊2200円の宿代を出していた。上京したばかりの同僚との共同生活を目指し、「2人なら何とかなるかな」と言いつつも不安そうだった。

 一方、JR池袋駅(豊島区)そばのネットカフェをのぞくと、寝泊まりできる個室が8時間で1280円だった。日雇い派遣をしつつ正社員職を探している男性(34)は「早朝の仕事の集合に間に合うよう各地のネットカフェを使っている。こんな安いホテルはないですよね」と苦笑した。

 山谷に日雇い労働者が集まったのは、手配師が車でまとめて労働者を作業現場へ運び、稼ぎの上前をはねる慣習があったことが大きい。人材派遣会社の電話一本で動く現代の労働者には、早朝の集合に合わせて都心に寝床を確保せざるを得ない事情もある。孤独を強いられ、心身ともに疲弊し、プライバシーを保てる唯一の空間であるネットカフェに駆け込むのが現実だ。

 今春から都庁を担当しているが、石原知事の「東京には財政力がある」という発言を何度か耳にした。都の税収は07年度決算見込みで過去最高の5兆5095億円。自治体としては巨額だ。だが、石原知事のアイデアで設立された新銀行東京は既に都の出資金(1000億円)の大半を失い、さらに再建に400億円の税金をつぎ込む事態となった。2016年夏季五輪の招致や、築地市場の移転予定地の土壌汚染対策にも多額の予算がつぎ込まれようとしている。潤沢な都の税収は、地方からやってきた人たちを含めた個々の労働力の上に成り立っていることを忘れてほしくない。

 池袋のネットカフェに泊まっていた東北出身の男性(45)は「数カ所の工場で雇い止めに遭い、しかたなく日雇い派遣で働いている。時に野宿もする」と打ち明けた。ネットカフェ難民増加の裏には、使い捨て雇用の広がりに加え、職を失うとただちに家を奪われる都心の貧困な住宅施策がある。公営住宅には単身の若者を受け入れるだけの容量がない。民間住宅には敷金、礼金、保証人といった「壁」が立ちはだかる。

 行政を無策と断じるつもりはない。都は今年度、ネットカフェ難民に生活費を無利子で貸し付ける事業を始めた。ただし「返済能力がない」などの理由で融資を断られるケースも多く、支援団体などに不満の声があるのも事実だ。カネ・ヒト・モノを握る東京都と石原知事には、労働環境や貧困の実態に即した支援策を講じてほしいし、それは十分可能なはずだ。

2008年11月27日木曜日

男子禁制ネットカフェ、大阪に登場 美顔器や健康器具も

 大阪・ミナミの商業ビルにこの秋、女性専用のネットカフェがオープンした。骨盤矯正マシンやスチーム式美顔器などを備え、基本料金を払えば無料で使える。従業員も女性が中心。男子禁制の「女性の園」だ。

 大阪市中央区西心斎橋2丁目の「リラクゼーション・カフェ・スイート」(06・6167・4621)。白と木目を基調にした220平方メートルの店内に、肌の乾燥を防ぐ加湿機能付きの空気清浄器を4台設け、パソコンが使える個室型スペースには、手鏡や観葉植物を用意した。1万冊の漫画の6割が少女コミックだ。

 最大の特徴は美容・健康器具7台を集めたリラクゼーションルーム。足先からふくらはぎまで蒸気で温める足浴器や、便秘や冷え性に効果があるとされる骨盤矯正マシンが並ぶ。化粧台も7席あり、ドライヤーや巻き髪用のヘアアイロンも自由に使える。

 24時間営業で、料金は初めの30分が280円。以降10分ごとに80円が追加される。6時間で2200円のコースもある。運営するのは市内の旅行会社。井原恵利加店長(26)は「男性客が多くて、なかなか利用できない女性がターゲット。明るく清潔な癒やし空間をめざします」。

 日本複合カフェ協会(東京)によると、ネットカフェは4月現在、約2900店でここ数年は横ばい傾向。利用客の7割以上が男性で、ホテル代わりに寝泊まりする「ネットカフェ難民」の存在もクローズアップされている。このため、既存店でもイメージを一新し、女性客の取り込みを図る動きが出ている。

2008年11月26日水曜日

ネットカフェ難民救済に壁 支援センター開設半年

 ネットカフェなどに寝泊まりする不安定就労者の相談支援窓口「住居喪失不安定就労者支援センター(OSAKAチャレンジネット)」(大阪市中央区)が開設してまもなく半年を迎える。府民の善意が施策を支え始める半面、資金援助できない体制が課題として浮き彫りになっている。

 同センターは、厚生労働省の委託を受けた行政などが設置。大阪労働者福祉協議会が相談の主体となっている。

 五月中旬の開設から九月末までに相談があったのは八十七人。「ネットカフェ難民」だけでなく、家賃滞納者や野宿者のほか在宅者からの問い合わせもあった。

 このうちホームレスへの就労支援などを行う自立支援センターに十一人が入所。このほか住居の確保につながったのは二人で、ともに定職に就いた。この二人とは別に窓口への相談を機に就職できたのは二人だけだった。

 国の推計では大阪市だけで約九百人はいるとみられる「ネットカフェ難民」救済に向けた道のりは険しいのが現状だ。

◇  ◇
 定職につながりにくい理由について、大阪東公共職業安定所(ハローワーク大阪東)からの派遣相談員、李香織さんは(1)精神衛生面で問題がある(2)保証人や住居面で不安がある(3)募集企業と求職者の求める内容がかみ合わない-の三点の課題を挙げる。

 精神疾患の場合は病院につなげられるが、特に支援の手が限られているのが住居の問題。定職に就くには避けられない課題だが、金銭面で不安の多い不安定就労者が入居するのは容易ではないという。

 同センターの宮田明典相談員によると「仕事に就いて最初の給与をもらうまでの資金が問題。敷金や礼金、最初の家賃などが払えない」と指摘する。

◇  ◇
 一方、東京で開設されている「TOKYOチャレンジネット」では、四月下旬から九月末までに千六百十三件の相談があり、住居を得たのは九十三人に上る。

 都が予算を組んで実施した住宅貸し付け(最大四十万円・無利子)が功を奏した形だ。都の担当者は「住居を失ったのだから資金貸し付けは当たり前の話」と説明する。

 大阪では自治体からの貸し付けが財政難などで見込めない中、住居取得者が出たのは「善意」に支えられた結果だった。

 府内アパートの家主から三カ月無料などの条件で受け入れの提案があり、現在、二施設で二人が暮らしている。就職をめぐっても「善意」によるものが大きい。個人経営の飲食店などから細かな書類を必要とせずに受け入れる声が上がったためだ。

 宮田さんらは「まずは住居の確保を」と住宅貸し付けの支援を国に求める一方、今できる手段として「各支援施設に誘導していければ」と対応にあたっている。相談時間は平日の午前十時から午後八時まで。相談無料。問い合わせは電話0800(200)0656、同センターへ。

2008/11/05

2008年11月25日火曜日

「ネットカフェ難民」転落 本当に若者の「責任」なのか5

――生活保護を取るのはイヤだ、という人は多いのですか。

社会一般のイメージが悪い。なんか、あっち側に行っちゃう、俺はまだ働けるのに生活保護を受けるなんて、と思うわけですよね。何とかなるはずじゃないかと。一般の人が思っているのと同じです。しかも、福祉事務所には、どうにも生活できない、といわば「白旗」を揚げていくんだけど、「甘えるな」と跳ね返されちゃいますからね。このあいだ、福祉事務所に生活保護の申請に行った女性は、受理してもらえなかった。理由を聞くと、福祉事務所側は「申請を受理したら生活保護を開始しなくちゃいけないから」と追い返されたと言うんですね。めちゃくちゃな、理由にならない理由で、力関係だけで追い返されている。
本当は本人だって生活保護なんて受けたくない。福祉事務所もなかなか受理しようとしない。気楽に受けて、「貧困」状態から脱出できれば、生活保護のイメージが変わるはずです。そしていろいろな面で「溜め」ができれば、生活保護から脱するといういいパターンに入れるのです。


――国や自治体の政策面ではどうすれば、困窮する人たちを救えるのでしょうか。

やはりセーフティネットの張りなおしが重要だと思います。ひとつは最低賃金など賃金の水準ですね。労働市場に完全にまかせておいたら、賃金は1円でも安い方がいいに決まっていますから、政府が介入しなくちゃいけない。それと、高度経済成長期では、企業と家族が歯止めになっていた。だから公的保障まで行かなかった。今はここも違いますね。そこで、失業保険が重要になるんです。失業保険は対象が限定されている上、3ヶ月と期間が短い。その結果、国の予算が余っている。しかし、政府は、対象を広げたり、給付期間を延ばすことを考えるかというと、まったく逆で、国庫負担金を削減しようとしている。とんでもない事態です。そして最後に、生活保護などの公的扶助によるセーフティネット。違法に追い返されるようなことのない社会にしないといけないと思います。

2008年11月24日月曜日

「ネットカフェ難民」転落 本当に若者の「責任」なのか4

――たしかに、「意欲がない」子供が目立ちます。「この先どうやって生きていくんだろう」という気になります。

日本ではそれほど意識されてないけど、「貧困の連鎖」が起きています。その人の「溜め」をどう増やしていくのかを真剣に考えなくちゃいけない。「お前甘えてるから仕事しろ」っていっても片付かない問題なんです。本人も一番そのことは分かってるんですね。そんな説教では「自分が悪い」と、ますます自信をなくしていく。「自己責任論」の問題は、倫理的によくない、というよりも実効性がなくて解決にならない、という点なんです。何らかのかたちで「成功体験」や受け入れられる経験を通じて「溜め」を増やすことが重要だと思います。


――賃金が安い。これも日雇い労働者が困窮する理由になっている?

大宮で6~7年間ネットカフェで暮らしていた人は、派遣大手で働いていたんですけど、固定で月8万。足りないからほかの派遣会社で仕事をすると、ブッキングしたときに困るわけです。断るときも出てくる。派遣会社からしてみれば、「仕事をまわしてもやらない奴」とレッテルを貼られ、仕事が回ってこなくなる。誰のせいなんだというと、彼のせいではないだろう、と思うんです。彼は結局、ネットカフェにも1週間毎日は泊まれなくて、週4日ネットカフェですごして、あとの3日は朝の始発の京浜東北線にのって3往復、これで睡眠時間をとっていた。本人がどうにかできたのか。私は無理だと思う。彼は生活保護を取る事に抵抗を感じていましたが、今では生活保護を取って、そこの仕事をしながら、ハローワークで仕事を探しています。
日雇い派遣については、政府が派遣法をどんどん緩めていった。日雇労働で有名な大手企業も、なんであんなにでかくなったのかというと、政治が規制を緩めてきたからですよね。その結果、かつてのように仕事していれば生活できるはずだ、という「神話」が成り立たなくなっている。仕事をしても、生活できないひとがたくさんいる。ここが、そうじゃない人にはなかなか分かってもらえない。「仕事すれば何とかなるはずなのに何とかならないのはきっとお前がなにか足りないんだろ」となる。
生活保護受けると、「なんか、あっち側に行っちゃう」

2008年11月22日土曜日

「ネットカフェ難民」転落 本当に若者の「責任」なのか3

――一方で、若者の「弱さ」「甘え」が、すぐに仕事を辞めて職を点々とするようなフリーターを生み出した、という意見もあります。

なんと言っていいのか難しい問題なんですけど。前にこういう事例がありました。5月に失業、相談に来たのは9月なんですが、その4ヶ月間の間に食べられなくなった男性でした。その間に、彼は3回就職しました。でも、3回の仕事をいずれも3日、3日、1日で自分から辞めてしまっているんです。食うに困っていて、仕事を探していて、実際に採ってくれるところもある。でもなんで辞めてしまうのか、ということですよね
彼に働く気がないのかというと、そうではない。そうじゃなきゃ3回も就職活動はしないわけで、だけど、続かない。「なんで?」と聞いたら、「仕事についていけると思わなかった」。そこがいわゆる「弱さ」の正体ですよね。
私はいつもこう言っているのですが、新しい仕事に就くということは、大変なことです。会ったことがない人たちと、やったことのない作業をやるってこと。多くの人はできると思うんですね。しかしやったことないんだから、そこには実は根拠がない。なんで根拠もないのにできると思えるのかというと、「今までやったことないことやらせてもらえた」「チャンスをもらえた」「やったことないことをやってうまくいってほめられた」といった「成功体験」みたいなものを過去に持たせてもらえた。だから、それを応用して「できる」と思えるんです。
逆に言うと、そういう経験に乏しい人にとっては、「できる」と思えない。本人にとってはこれが、大問題だったりするんですよね。
これは、自己責任論と絡むんです。病気で仕事に行けなくなって解雇されたというと、みんな「しょうがない」というんです。みんな実際に病気をしたことがあるから。「健康管理がなってない」と自己責任論で片付けることもできるはずですが、そう言って批判する人は多くはない。一方で、仕事のことになると、「お前が頑張らなかったせい」と自己責任論で片付けられる。多くの人にとっては「頑張ればできる」ということなんだろうけど、本人にとってはどうしても乗り越えられない。これも広い意味で「貧困」だと思うんですよ。つまり、「意欲の貧困」、精神的に「溜め」がないということなんです。
仕事をしても、生活できないひとがたくさんいる

2008年11月21日金曜日

「ネットカフェ難民」転落 本当に若者の「責任」なのか2

――「ネットカフェ難民」といった、日雇い派遣の労働者たちは携帯電話をつかってその日の仕事にありついているようです。昔と変わったことはありますか。

たしかに、携帯電話は日雇いの労働者にとって必需品です。私は日本全国「寄場(よせば)」化してるといっています。「寄場」というのは、東京だと山谷とか、大阪の釜ヶ崎とかは昔から日雇い労働者の町なんです。なぜ、日雇い労働者の街ができるかというと、そこにいかないと仕事が得られないからですよね。働き手を探している業者もそこにいかないと日雇い労働者を集められなかった。
携帯電話で、「直行直帰」のスタイルが可能になったから、「寄場」に住む必要がなくなった。その中で何が変わったかというと、「寄場」でいう「ダチ」「ツレ」という、一緒に働いて、終わったら一緒に飲んで、というような友人関係ですよね、会社とトラブルがあったときに助け合ったりするような関係ですが、これがなくなった。働く人たちの横の繋がりがなくなった。みんな「直行直帰」だから、毎日行く現場が違うし、毎日会う人が違うから、友達ができない。人間関係でも「溜め」「安全ネット」がなくなってしまったんです。

2008年11月20日木曜日

「ネットカフェ難民」転落 本当に若者の「責任」なのか1

――NPOもやい事務局長・湯浅誠氏インタビュー

ネットカフェで暮らす「ネットカフェ難民」やファーストフード店で夜を過ごす「マック難民」といった若者たちが話題になっている。彼らはどうして「難民」になったのか。「自己責任」なのか、それとも、どうしようもないことなのか。前回に引き続き、NPO法人自立生活サポートセンター「もやい」の事務局長を務める湯浅誠さんに聞いた。


――「ネットカフェ難民」といわれる人が現れたのはいつ頃からでしょうか。

ネットカフェが24時間営業を始めた最初のときから、7年ほど前からだと思います。実際に相談に来た34歳の男性は、6年~7年ネットカフェに住んでいました。実際に世間で注目されたのは2006年からですが、私たちのところに、ネットカフェから初めて相談に来たのは2003年です。かなり前から「ネットカフェ難民」はいたわけです。
私は以前、渋谷を中心に活動していた時がありました。街に野宿する若い人が増えてきて、2000年前後から珍しくなくなってきたんです。90年代だと、「何であなたみたいな若い人が」と驚いたものですが、もう珍しくなくなった。今では、野宿まで行かないにしても、それに近い若者が相当数いるはずです。
働く人たちの横の繋がりもなくなった

2008年11月19日水曜日

広がる若者世代の貧困 「一回転ぶとドン底まで行く」3

――クッションがないということですね。でも家族のサポート、つまり「溜め」がない場合、困窮する人たちはどうやって自立していくのでしょうか?

「溜め」を増やしていくしかないですよね。貯金といった金銭関係、家族・友人、精神的には「自信」とかですよね。
先ほどお話しましたが、31歳で実家で飢えていた男性は、最初に来た時、「30歳になって恥ずかしい、もう生きて行けない」と言ったんです。「意欲の貧困」というか、すでに精神的に「溜め」がなくなっているんですね。生活の基盤ができた、友達ができた。そういうことがあって元気になれたんだと思います。
あと、生活保障や居場所、そういったものがセットで提供されることが非常に重要なんですね。僕は「再チャレンジ」はうまく行かないと言っているんですけど、「再チャレンジ」というのは一言で言えば、「労働市場で働け」ということですよね。条件が過酷ですから、その日の暮らしに追われて、「溜め」ができないわけです。もっと働いたところで、脱出できるわけでもない。どうやったら、その人の「溜め」を増やしていけるのかを真剣に考えなければならないと思います。
福祉事務所に行って生活保護を受けようとしても「お前まだ働けるでしょ」と言われて追い返される。
もう、それから後は、つるつるの坂道みたいなもので、何の歯止めがない社会なんですね。一回転んだらさーっとどん底まで行っちゃう。世の中では、「楽して生きたいから生活保護を受ける」みたいに考えられているけど、本当は本人だって生活保護なんて受けたくないんですよ。でもそれ以外、他に生きる方法がない。だから、労働や社会保障を含めたセーフティネットをもう一度張りなおさなければいけないのです。

2008年11月18日火曜日

広がる若者世代の貧困 「一回転ぶとドン底まで行く」2

――男女問わず、年齢も拡大している?

そういう感じですね。日本全体が「貧困化」していると思います。若者はメディアに非常に注目されてるので、どうしても貧困の問題は就職氷河期の問題と結び付けられやすいのですが、私は必ずしもそうではないと思います。全体が地盤沈下しているなかで、とりわけ若者に注目が集まっている、ということです。家族の相談が増えてきたのも特徴です。支えてきた人が一緒に来て、言うことは決まっているんです。「今まで何とかしてきたけど、もう限界だ」と言うんですね。こうした人たちは「貧困」という状態までは行ってないけど、支える余裕がなくなってきてる。考えてみれば、例えば定年退職しても、貯金とわずかな年金で、あと20年~30年、ひょっとしたら40年、息子や娘を支えて暮らしていかないといけない。勿論そこには、不安があるわけですよね。「もう限界だ」というので、相談に来るんです。

――若くして貧困に苦しんで相談に来る人は、家族の支えはないのでしょうか。

ほぼ例外なく家族と断絶しています。どういう原因がなのか聞くのはあまりにデリケートなので、信頼関係上、最初はあまり聞かないようにしています。ただ、ぼつぼつ関係ができてきてから聞いてみると、ほぼ例外なく家族との関係が切れている。若い人の場合、もともと養護施設出身の人、ご両親が離婚している人、DV(家庭内暴力)の被害に遭った人、いろんな人がいます。何らかの形で家族に頼れない事情があると例がほとんどですね。親と同居しているフリーターは、仕事は不安定だけど、家族の支えがあれば、そのまま生活の不安定さには直結しないわけです。でも、そこでサポートしてくれる家族の関係がないと、仕事の不安定さがそのまま生活の不安定さに直結してしまう。それを私は「溜め」がないといってますけど、そういった「溜め」が失われてしまっている人が多いです。
「意欲の貧困」が起きている

2008年11月16日日曜日

広がる若者世代の貧困 「一回転ぶとドン底まで行く」1

NPOもやい事務局長・湯浅誠氏インタビュー

最近、「ネットカフェ難民」の実態がメディアで大きく取り上げられ、若年世代を中心とした「貧困」の現状が浮き彫りになった。この世代の「貧困」は広がりを増し、深刻な問題になりつつある。彼らはなぜ「貧困」に苦しまなくてはいけないのか。その脱出策はあるのか。1995年からホームレスの支援に携わり、NPO法人自立生活サポートセンター「もやい」の事務局長を務める湯浅誠さんに聞いた。

子供支えるのは「もう限界だ」

――若者の相談は増えているのでしょうか。

とっても増えているんです。最近の相談例を紹介しましょう。例えば、今週(もやいを)訪れたのは、34歳の男性で、7年間ネットカフェ難民をやっていました。といっても、7年間ずっとネットカフェで暮らしていたわけではなく、友達の家にいたりもしていましたけど、広い意味での「ホームレス」ですよね。
家賃が払えなくなった35歳の女性も来ました。31歳の男の人の場合も厳しい状態でした。1年ぐらい前にうつ病でコンピュータの関係の仕事をやめたんですが、もともと実家とはあまりうまく行ってないというか、実家にいながら台所を使わせてもらえない状態だったんです。1週間ぐらい何も食べてない状態でした。実家にいながら飢えてたんですね。本人も自信を失っていて、なかなか相談に来るまで踏み出せなくて、ようやく2~3週間ぐらい前に来て、対応しました。今は見違えるほど元気になっています。
「ネットカフェ難民」を筆頭に、メディアなどでいろいろ話題になっていることも影響して、若い人の相談が増えているのは確かです。ただ、若い人たちだけかというと多分そうではない。一番感じるのは、「多様化」ということです。例えば、1日のうち1時間ずつ予約制で相談を受けてるんですけど、10代の施設を飛び出してきた人が来たり、80代のおじいいちゃんが来たり、家族一家が4人揃ってきたり、若い男性やカップルが来ることもあります。

2008年11月14日金曜日

反貧困キャラバン 垣根を越えて、再生のチャンス

2008年10月24日

 明治公園には多くの机が並べられ、200食限定の無料カレーうどん、カンパや安価で提供される焼きとり、焼きいかなどがおいしそうな匂いを漂わせていた。「住まい」「食の危機」「労働」「社会保障」「女性と貧困」「多重債務・消費者問題」など12の分科会では、発言者のことばに人々が熱心に耳を傾け、また自分でもマイクを握り発言する。草の上には、路上生活者と思われる数人の男性が横たわり眠っている。この会場でなら、誰からも襲われる心配がない。

 分科会のあとはSHINGO★西成さんのライブ。分科会報告。それから、湯浅事務局長による集会宣言。そして最後は、パレード。
(宣言文は以下から読めます。)http://d.hatena.ne.jp/hinky/20081019/p1

 「ゴール地点、東京集会では何万人もの人を集めて、社会に大きなうねりを起こしましょう!」

 7月のキャラバン出発式のとき、宇都宮健児代表は出席者たちに、そう呼びかけた。たしかにこの日、参加者の数は、「何万人」には届かなかった。しかし、集会に参加した人たち、パレードに参加した人たちのほとんどが、貧困問題の当事者たちだ。この国の貧困問題が改善されない限り、これから先、反貧困運動に関わってくる人たちが減ることはないだろう。

 ――考えてみれば、バブル期にすら貧困は存在していた。日雇い労働者は、いつでもいた。母子家庭は、ずっと貧しかった。路上生活者は、病院にもかかれなかった。障がい者は、世の中から疎外されていた。

 ただ、社会の中でそれらの人々は少数派とされ、その声に人々が耳を傾けることがなかっただけだ。もしそうだとすると、中流家庭に育ち、4年制大学を卒業し、それでも貧困層に陥らざるを得ない人々が急増している今こそ、もしかしたらこの国にとっての、「なにか」のチャンスなのかもしれない。

 多くの大人がバーチャルなマネーゲームに奔走し、学校や職場では陰湿なイジメが横行し、弱者や敗者への「自己責任!」の声が響き渡り、路上生活者や野良猫を少年たちが平然となぶり殺しにするような、この国にとっての――。

 「日本の貧困をなくせぇ!」「世界の貧困をなくせぇ!」。暗くなっていく街中に、人々の声が和する。

 「垣根を越えてつながろう」。ことばで言うのは、簡単である。しかし、これから先、私たちはどんな垣根を越えていかなければならないのか? 反貧困運動は続く。

2008年11月13日木曜日

反貧困キャラバン 全国を回る

 10月19日午後1時過ぎ。参加者2,000人の拍手とトランペットによるにぎやかなファンファーレに迎えられ、「反貧困全国キャラバン2008」の2台のキャラバンカーが、無事に明治公園にゴールした。7月のスタートからこの日まで、2つのキャラバンが訪れたのは全国48都道府県。計6,000人余りの人々が各地の集会に参加した。

 7月12日、悪名高い「北九州方式」発祥の地であり、3年連続で餓死者を出した北九州市から、西日本ルートのキャラバンはスタートした。もう1台の車で回る東日本ルートは翌13日、埼玉県さいたま市から出発。それぞれのルートを回った2台のキャラバンカーがこの日、明治公園で合流、大集会が行われた。

 キャラバンを主催した「反貧困ネットワーク」は、貧困問題に取り組む市民団体、労働組合、法律家、学者などが集まって作られた組織だ。人間らしい生活と労働の保障を実現し、貧困問題を社会的・政治的に解決することを目的に、2007年10月に発足した。参加団体は、自立生活サポートセンター・もやい、反貧困たすけあいネットワーク、しんぐるまざあず・ふぉーらむ、ふぇみん、首都圏青年ユニオン、派遣ユニオン、全国労働組合総連合、POSSE、明石書店など多数。まさに「垣根を越えてつながった」感のネットワーク組織である。

 この2つのキャラバンが全国を回っているあいだにも、社会では貧困問題に関連するさまざまな動きがあった。

 人材派遣会社最大手「グッドウィル」が廃業に追い込まれた。同じく人材派遣会社「フルキャスト」が短期派遣労働事業から撤退した。厚生労働省の諮問機関・労働政策審議会が、日雇い派遣原則禁止などの規制を含む「労働派遣法」改正のための建議をまとめた。女性の貧困問題のためのネットワーク組織、「女性と貧困ネットワーク」が発足した。サブプライム問題の余波で運営危機に陥った「もやい」が、活動に賛同する一般市民からの寄付金で、どうにか今年度を乗り切れることになった。

 ネットカフェ難民に関する発言をめぐり、稲葉剛「もやい」理事長が石原慎太郎東京都知事に公開質問状を出し、知事は発言を撤回した。「ゼロゼロ物件」が売り物の貧困ビジネスの代表格「スマイルサービス」を入居者5人が提訴した問題なども起きている。

 「もやい」事務局長の湯浅誠氏が「反貧困ネットワーク」の事務局長も務める。スマイルサービス提訴の弁護団団長は、同ネットワーク代表の宇都宮健児弁護士だ。ネットワーク副代表・赤石千衣子氏は「女性と貧困ネットワーク」の中心メンバーでもある。全国各地で起こっている“反貧困”の動きに、「反貧困ネットワーク」は大きく関わっている印象を受ける。

2008年11月12日水曜日

垣根を越えてつながろう! 「反貧困 世直しイッキ!大集会」に2,000人

2008年10月24日

「金がないぞぉ!」「ほんとにないぞぉ!」「労働者派遣法を廃止しろぉ!」「福祉の未来を示せぇ!」。マイクを持った雨宮処凛さんが叫ぶ。

 日曜日の10月19日に開かれた「反貧困 世直しイッキ!大集会―垣根を越えてつながろう」のラスト・プログラム。千駄ヶ谷の明治公園から渋谷・宮下公園までのパレードで、私は6つに分けられたグループのうち、3番目のパレード隊の中にいた。

 大音量で音楽を流すサウンドカー。シュプレヒコールをリードするのは、いまや「反貧困運動のジャンヌ・ダルク」とさえ呼ばれる雨宮処凛さん。そして、あとに続くのは、この日の集会で「女性と貧困」分科会、「子ども」分科会に参加していた人々だ。

 「このまま黙って野垂れ死になんかしないぞぉ!」「黙って自殺なんかしないぞぉ!」「麻生は最低賃金で働けぇ!」「最低賃金で1ヶ月暮らしてみろぉ!」

 夕方5時に明治公園を出発した6グループ、1,000人余りの大隊は、青山通り、表参道、明治通りへと進んでいく。日曜日のこの時間帯、街にはまだ多くの人々が繰り出している。歩道では、ファッショナブルな装いの若者たちが立ち止まり、パレード隊のほうを眺めやる。立ち並ぶビルの窓から、道を見下ろす女の子たち。ひょっとしたら、そのビルに入っているテナントで、非正規雇用で働く人たちかもしれない。

 「交通費で自腹を切らせるなぁ!」「有給をよこせぇ!」「会社は法律を守れぇ!」「過労死から逃げろぉ!」

 路上生活者が、生活保護受給者が、名ばかり店長が、派遣社員が、シングルマザーが、障がい者が、外国人親子が、みな一緒に叫ぶ。歩く。

 自分の現実を見つめれば見つめるほど、出口が見えなくなるような状況をそれぞれに背負っている人たちだ。でも、散会のあと、この日の集会とパレードの感想をたずねると、だれの口からも最初に出てきたのは、このひと言だった。

 「楽しかった!」

反貧困たすけあいネットがイベント

反貧困たすけあいネットワークのイベントのお知らせです。

転送・転載大歓迎!
よろしくお願いします。

==ここから==

反貧困たすけあいネットワーク PRESENTS
◇◆BREAD AND ROSES 3 ~私たちにパンと誇りを!◆◇


日時:11.21(FRI) 開場18:00 スタート18:30

場所:Asagaya Loft A
   東京都杉並区阿佐谷南1-36-16-B1
   (JR阿佐ヶ谷駅パールセンター街徒歩2分)
TEL:03-5929-3445(当日のみ)


生きづらいのは自分のせいではない!
働いても食うに食えない若者のためのプロジェクト『反貧困たすけあいネットワーク』の発足から1
年。日本の貧困はどうなってしまったのか!?

怒れる男たち、おなじみの湯浅誠と河添誠、そして雨宮処凛はもちろん、映画監督から新聞奨学生、
政治学者までが阿佐ヶ谷に大集結。さあ、今こそ、私たちに「パンと誇り」(BREAD
AND ROSES)を!

☆SPEAKERS

河添誠(首都圏青年ユニオン)、湯浅誠(NPO法人 自立生活サポートセンター・もやい)、冨樫
匡孝(NPO法人 自立生活サポートセンター・もやい)


☆SPECIAL GUESTS

雨宮処凛(作家)、秋田正人(liby)、浅尾大輔(ロスジェネ)、土屋トカチ(映画監督)、村澤潤
平(新聞奨学生110番)、渡辺治(政治学者)、ほか

☆MUSIC
KEN-RA(FREEDOM SCHOOL)

☆MOVIE
TAKETON

☆ENTRANCE FEE
会員・当日ご入会者/無料、非会員/1000円

(その場で会員登録をした非会員は無料)

 発足1年を迎える『反貧困たすけあいネットワーク』は「ネットカフェ難民」や路上生活者への生
活相談を手がけてきた〈NPO法人自立生活サポートセンター・もやい〉事務局長の湯浅誠と、労働
問題で先駆的な活動をしている〈首都圏青年ユニオン〉の書記長・河添誠らによって設立されたワー
キングプアのための互助プロジェクトだ。彼らによる「貧困を楽しく告発する」(笑)人気パーティ
ー、BREAD
AND ROSES(ブレッド・アンド・ローズ)の第三弾が開催。
 新刊『「生きづらさ」の臨界―"溜め"のある社会へ』(旬報社、2008年11月刊)をリリースした湯
浅誠&河添誠によるオープニングトーク「ところで、今度の選挙って、どうよ?」。政治学者・渡辺
治が戦後日本社会の変遷を考える「日本はどーしてこうなっちゃったの?」。そして映画『フツーの
仕事がしたい』で注目を集める映画監督・土屋トカチらが、学校に行く時間もないほど働かされ、借
金を背負わされてしまう「新聞奨学生」の実態を告発する「これも貧困ビジネスだ!」。さらに、『
ロスジェネ』編集長・浅尾大輔と秋田正人(liby)、冨樫匡孝(もやい)らが「蟹工船」時代(?)
の「居場所の意味」について考えるトーク・セッション「居場所がないっ!」……などなど、私たち
の貧困を考える豪華メニューをご用意しました。もちろん、みんな大好き「お酒と音楽」もあります
よ!
 さあ、飲んで、だべって、今こそ、私たちに「パンと誇り」(BREAD AND ROSES)を!


主催:反貧困たすけあいネットワーク
後援:旬報社

お問い合わせ:
反貧困たすけあいネットワーク
170-0005 東京都豊島区南大塚2‐33‐10
東京労働会館5F 公共一般労組内 首都圏青年ユニオン気付
Tel:03-5395-3807 Fax:03-5395-5139
Mail:tasukeai-net@seinen-u.org
Web:http://d.hatena.ne.jp/tasukeai-net/

2008年11月11日火曜日

補正予算案 非正規雇用

2008年10月6日

 六日から衆院予算委員会で二〇〇八年度補正予算案(九月二十九日提出)の本格的な審議が始まります。麻生太郎首相は「一日も早い成立を」と求めています。補正予算案は八月に政府が発表した、生活者の不安解消のためとする「緊急総合対策」を裏付けるもので、一・八兆円の規模となっています。

◆非正規雇用

 首相が売りものにしている非正規雇用対策への予算は全体のわずか0・3%以下です。「ネットカフェ難民」などに対してアパート入居時の初期費用などを貸与することに八千五百万円を計上したことが目玉といいますが、これで五千四百人(厚生労働省調査)以上いる「ネットカフェ難民」を救えるのかは疑問です。

2008年11月10日月曜日

「もやい」ピンチ 後援社破産、ホームレス支援困難

2008年10月5日

ホームレスやネットカフェ難民などの生活困窮者を支援する特定非営利活動法人(NPO法人)「自立生活サポートセンター・もやい」(東京都新宿区)の活動が、主力だった後援企業の破産で窮地に立たされている。活動の危機を乗り切るため、もやいはカンパなどを募っている。

 破産したのは不動産会社「リプラス」(東京)。もやいのアパート入居支援活動に賛同し、2006年4月から、1人6カ月分の家賃保証と、もやいに毎年約1300万円を寄付してきた。もやいは、生活困窮者の自立のため、賛同する会員が連帯保証人となって、アパートに入居できる支援を続けてきた。湯浅誠事務局長(39)は「住居の確保は人間らしく生きるための最低限の基盤」と話す。

 しかし、リプラスは米サブプライムローン不況などの影響で経営が悪化。9月24日、破産手続きを東京地裁に申し立てた。もやいは年間予算の約40%を失うことになる。

 残る収入は一般の人や企業からの寄付、会費、連帯保証人申込者の保証料(1人2年間8000円)になる。元生活困窮者ら6人を有給スタッフとして雇用しているが、人件費の削減が避けられない。

 泊まるところのない相談者のために、一時宿泊所として借りていたアパートの部屋も手放さなくてはならなくなるという。

 もやいに連帯保証人になってもらい、アパートに入居できたのは首都圏を中心に約1350世帯に上る。

 ネットカフェや個室ビデオ店などで寝泊まりしている人の場合、日雇い労働などで収入があっても、保証人がいなかったり、まとまった蓄えがないために敷金・礼金などが払えず、アパートを借りられないというケースが多い。現在も毎月約100件の生活相談がある。

 湯浅事務局長は「支援企業を探しているが、当面の危機を乗り切るため、緊急のカンパをお願いしたい」と話している。

 カンパは1口5万円。振込先は、ゆうちょ銀行振替口座00160-7-37247。口座名は「自立生活サポートセンター・もやい」。

◆「何とか続けたい」理事長
 「もやい」は2001年、ともに東大出身で塾講師だった稲葉剛理事長(39)と大学院生だった湯浅事務局長が立ち上げた。

 当初は、ほとんど2人が生活困窮者の連帯保証人となってアパートを借りていた。03年、NPO法人となり、生活保護申請のサポートや生活相談なども行っている。アパートに移った人が孤立するのを防ごうと、交流の場となるカフェも運営。元ホームレスの人らが焙煎(ばいせん)するコーヒーの提供、販売などを行っている。

 稲葉理事長は「投資で利益を求めた米金融機関の破たんの影響がこうして一番弱いところに出て来てしまう。景気後退で相談者はますます増えており、何とか活動を続けたい」と訴える。

2008年11月9日日曜日

高級? ユニーク? "漫画喫茶"を超える漫画喫茶ってなんだっ!?2

女性にうれしい アプレシオ銀座店

銀座7丁目の交差点に建つモンブランGINZAビルの5階、エレベーターの扉が開くと、清潔感漂う受付エリアが現れます。その横には明るいスペースがあり、喫茶店の一角のような印象。さほど広くはないものの、一面ガラス張りで開放感にあふれています。よくよく考えれば、ふつうの漫画喫茶って窓がないイメージが……。

「女性がひとりでも利用できる上質な新感覚ブランドとして、『アプレシオ』の新宿店がオープンしたのは5年前。銀座店は2年前にオープンしました」

それまでの漫画喫茶とは差別化を図り、女性向けの高級感のある店舗を目指したと、経営戦略室の松尾室長は話します。確かにシロウト目に見ても、漫画喫茶は飽和状態。何を「売り」にするのかが、これからは重要のようです。

アプレシオは会員制で年会費は300円。銀座店の場合、基本料金が15分で200円のほか、2時間パック(1,400円)、3時間パック(2,000円)、5時間パック(3,000円)などなどの設定となっています。都内には現在、14店舗ありますが、銀座店の大きな特徴は、利用客の55%が20~30代女性ということ。

「平日の昼間に1時間から1時間半ほど休憩されるお客様が多いというのも、当店ならではでしょうね。終電後に利用される女性の方も少なくありません」

建物の4階は女性専用のフロアとなっていて、炭盤浴(たんばんよく)エリアも。(ちなみに、「岩」盤浴ではなく、「炭」盤浴。炭の遠赤外線効果でからだの芯からぽかぽか温まるそうです)なるほど、それなら女性ひとりでも安心して休めるというわけですね。

男性利用客も場所柄、30~40代のサラリーマンが多いとのこと。そのためビジネス誌、そして女性誌を多く取り揃えていて、漫画の需要は案外少ないのだとか。もちろん、そうは言っても、コミックライブラリーは充実しています。コミックの検索システムもあり、読みたい漫画の場所はすぐにわかります。

料理のメニューもレストランに負けていません。スナック、おにぎりから、パスタ、カレーなどまで揃い、それらは店で調理をしています。人気なのはランチパック(11時30分~15時)。パスタ、カレーなどが800円、数量限定の豚丼が1,000円などと、お手頃価格で本格料理がゆっくりと楽しめます。ランチ目当ての利用者が多いというのも納得です。なお、メニューは変更されることがありますので、詳しいことはご確認を。

「今後は、より女性に特化したサービスを考えたい」と松尾室長。女性にはうれしい限りですが、男性にも利用価値が大きいのは変わりないでしょう。炭盤浴も体験してみたいなぁ、と思いましたが……。

2008年11月8日土曜日

高級? ユニーク? "漫画喫茶"を超える漫画喫茶ってなんだっ!?1

漫画喫茶、と言えば、安い料金で漫画読んだり、ネットゲームしたり……、終電逃したときは朝まで休んだり、という場所。「ネットカフェ難民」なんて言葉があるように社会的な問題も浮き彫りになっているのも事実ですが、ここ数年は、高級感を漂わせるお店も出てきています。

そこで、今回は高級漫画喫茶(正確?には、複合カフェと呼ぶとのこと)をご紹介、するのですが、従来の「漫画喫茶」というイメージとは異なる店舗も登場。休息に、食事に、ビジネスに、そして遊びに。進化する漫画喫茶は、いろいろな利用法がありそうです。

シート180席&漫画5万冊! グランサイバーカフェバグース 渋谷店
文化村通りに面したビルの6、7階は、照明をトーンダウンした別世界のような空間。サービスカウンターには、次々とお客さんが出入りします。1日平均の利用者数は1,000人ほどとのこと。さすが渋谷、若者ばかり、なんでしょうか?

「いえ。年齢層は結構高いですね。サラリーマンの方を中心に、30代、40代のお客様も多いです。男性は6割ほどを占めています」。同店支配人栢内(かやうち)さんの答えはちょっと意外でした。渋谷センター街店はもう少し年齢層が低いとのことです。

バグースは高校生もしくは18歳未満は22時以降は利用不可。会員制ではありません。通常料金は初めの1時間が420円、以後15分単位で100円という設定ですが、デイパック(3時間。5時~23時受付)980円、ナイトパック(23時~翌朝8時のうちの6時間)などコースはさまざまです。

2006年に拡大オープンした渋谷店の特徴は、何よりもその規模。シートは180席でバグースの店舗(都内には11店)の中でも最大です。漫画は5万冊をそろえているほか、雑誌500冊、写真集100冊という充実ぶり。パソコンはシートと同じく180台。DVD・プレイステーション2の無料貸出しソフトは200タイトルに及びます。フリードリンクも80種類は用意されています。

取材に訪れたのは平日の午後3時過ぎでしたが、満席に近い状態。ただし、昼間は利用時間が短いので回転率が高いようです。何しろ180席ありますし……。それでも夕方から本格的に混み始め、夜9時頃にはシングルシートは満席になるケースが多いとのこと。土日の利用時間は少し長く、終日、2~3時間利用のパターンが増えます。

受付サービスカウンターはお客が絶えることはありませんが、ブースエリアは静寂そのもの。明りのトーンもほどよく落とされているので、店内は落ち着いた雰囲気が漂っています。6階の奥にはレディースシートもあります。もちろん、完全分煙となっています。

コミック検索システムがあるだけではなく、漫画本にもナンバーが付けられているのは珍しいかもしれません。冊数が膨大なだけに利用者だけではなく、お店側にとっても必要なのではないかと思いました。

人気が高いのは、マッサージシート。最新の機種が6台用意されています。「背中のラインを自動検出する3Dポイントナビシステム」が備わっていて、500種類以上(!)の多彩なマッサージが可能なのだそうです。こちらの体験を狙ってみるのもいいかもしれません。

2008年11月7日金曜日

福祉現場の生の声伝える

2008年10月26日

 ◆福祉現場の生の声伝える--黒田孝彦さん(54)=大阪市天王寺区

 ◇希望ある職場へ「月刊誌」編集 社会の動きに敏感に対応したい
 高齢者福祉、障害者福祉、児童福祉、母子福祉と、縦割りに論じられがちな社会福祉を、総合的に研究する目的で88年に設立された大阪市天王寺区の「総合社会福祉研究所」(理事長・石倉康次立命館大教授)。同研究所が編集する月刊誌「福祉のひろば」の編集主幹を務めて4年になる。

 堺市の医療法人に約30年勤めた後、大東四條畷保健生協の介護事業部長などを経て05年、現職に就いた。

 同誌はもともと、府内で公設社会福祉施設を運営してきた大阪福祉事業財団の職員共済会が、実践記録集として79年に発行を始めたもの。福祉現場で働く人たちの生の声を伝えるとともに、急激に移り変わる社会環境の中、社会福祉の対象の多様化にも必然的に焦点を当ててきた。

 「短期連載『規制緩和とタクシー労働者』」--。ページをめくると、「福祉のひろば」という誌名から浮かぶイメージとはいささか異なるトピックを目にすることもある。「タクシー業界は青息吐息の現状で、運転手の年収はこの10年で4割も減った。福祉の観点で労働問題を見ることで、本誌の趣旨に合うでしょう」と話す。

 この連載の発端は、出先で乗ったタクシーに「生活臭」を感じたこと。取材を進めると、運転手の中には低収入で家賃に窮し、会社の休憩室で暮らしたり、極端な場合は車を半ば生活の場に使用している実態が分かってきたという。

 「夕張財政再建計画の実地検証と社会福祉のゆくえ」▽「新たな住宅なし貧困層の拡大」▽「若者はなぜ、福祉現場に来ないのか?」--。時事的な問題提起が目立つ。

 府北部で障害者を保護する救護施設の個室化計画が持ち上がり、住民説明会を開くと、「施設の入所者が自分たちよりいい生活になるのはどうか」という声が上がった、と取材で知った。

 「自分より低い生活レベルや処遇にある人がいることで、安心感を抱くという風潮の表れだ。ネットカフェ難民など福祉の対象となる“予備軍”の問題を社会全体が真剣に考えようとしない理由は、そこにあるのでは」と感じている。

 厳しい労働環境や介護報酬の改定などで、福祉の現場を離れる人は少なくない。だからこそ、福祉に携わる人たちに希望を与えるような雑誌であるとともに、社会の動きに敏感に対応していきたいと考えている。【

2008年11月6日木曜日

派遣依存社会/下 広がる「貧困ビジネス」

 ◇ネットカフェ難民に「住所」提供
 世界的な景気後退懸念が強まる中、派遣労働者やアルバイトなど非正規雇用の絞り込みが進んでいる。ますます増えようとする不安定、低賃金雇用の人たちに照準を合わせた「貧困ビジネス」も広がっている。

 賃貸マンション業のツカサグループ(東京都)は1時間300円、24時間1500円の個室時間貸しサービスを始めた。「低所得者に受ける」との思惑が当たり、満室が続く。

 2畳に満たない個室には、パソコンを置いた机と座椅子、洗面台があるだけだ。ツカサグループが昨年8月、「ネットルーム」と銘打って始めた。ここに約1カ月寝泊まりしている50代男性は、北海道で経営していた会社が昨年倒産し、追われるように上京。一時は旅館に住み込みで働いたが、アパートを借りる資金をためようと、運送会社の夜勤アルバイトを見つけた。夕方6時から翌朝6時まで荷物の仕分けが続き、ほとんど休憩はない。体はきついが、1日1万5000円の日当が魅力という。

 ツカサはもともとビジネスマン向けに月単位で貸していた部屋65室を、1時間300円、24時間1500円という時間単位に変更した。月単位より割高だ。しかし、まとまった現金を持たない住居喪失者は割高な時間貸しを選びがちだ。川又三智彦社長は「景気悪化で失業者は増加傾向にあり、需要は増している」と語る。

 埼玉県蕨市のネットカフェ「サイバーアットカフェ」(佐藤明広社長)は昨年末の開店から、「ネットカフェ難民」など住居喪失者の住民票を店内に移し、郵便物を受け取るサービスを始めた。

 「難民」の多くは定職に就きたいが、住所不定だと面接すら受けられない。そうした現状をマスコミで知り、ネットカフェのビジネスと両立する仕組みを検討。蕨市役所とも相談し、あらかじめ30日分の利用料(5万7600円)を支払うことなどを条件に、利用者に「住所」を提供することにした。

 現在も住民票が必要な4人が利用。ネットでも話題となり、宣伝効果でカフェの来店客が増える相乗効果も生まれた。部屋は常時満杯だという。佐藤社長は「貧困を商売にしていると批判されるかもしれないが、ネット難民がステップアップした事実を見てほしい」と話す。

 貧困ビジネスの拡大について大阪市立大の島和博教授(労働社会学)は「生活の場など本来、インフラとしてなくてはならない部分が欠けていることが背景にある。行政は、公営宿泊施設などのセーフティーネットの拡充を急ぐべきだ」と指摘している。

2008年11月5日水曜日

派遣依存社会/中 契約期限切れ「09年問題」

 ◇直接雇用迫られ、抜け道行為も
 「期限の切れる派遣の人を雇い続けるにはどうすればいいのか」。今春以降、人材派遣会社が製造業の人事担当者向けに開くセミナーが盛況だ。テーマは「09年問題」。工場で働く多くの派遣従業員が09年、期限満了を迎えることを指す。

 09年問題の背景には、請負労働者に対し、メーカーが指示、命令する違法行為(偽装請負)が06年に問題化し、製造業の多くが請負を派遣に切り替えたことがある。契約期間に上限のない請負と違って派遣は3年まで。一部の職種を除き、3年を超えると、直接雇用か、請負契約に切り替えなくてはならない。

 だが、請負の場合、メーカー側は直接、作業内容を指示できず、製造手法の改善や新製品導入など、生産ラインの頻繁な変化に対応しにくい。そのため「脱法行為」で派遣を長く雇おうとするメーカーも現れた。埼玉県内の自動車部品メーカーで働く男性(27)は7カ月の間に2回、雇用形態を変えられた。最初は、埼玉労働局から偽装請負の疑いを指摘された07年9月、派遣から直接雇用の期間従業員に。ところが4カ月後の今年1月、「派遣に戻らなければマンスリーボーナス3000円の上乗せができなくなる」と言われ、もとの派遣社員に戻った。

 厚生労働省は、派遣終了後、再び派遣労働者として受け入れるまでの期間が3カ月以内の場合、「継続派遣」とみなしている。これを逆手にとり、3カ月を超えて直接雇用した後、再び派遣に戻す脱法行為が広がった。メーカーは「労働局からの指摘を受け、緊急措置として直接雇用しただけ」と反論するが、男性は「派遣会社の担当者から『再び派遣で雇うため、3カ月以上直接雇用した』と告げられた」という。脱法行為けん制のため厚労省は9月26日、派遣労働者を一時的に直接雇用し、再び同じ派遣業務に戻すのは「職業安定法違反にあたる恐れがある」との通達を出した。

 直接雇用を模索する動きも出ている。大手派遣のフルキャストを利用していた自動販売機管理「三和ベンダー」(東京都千代田区)は昨年8月のフルキャストの業務停止を受け、派遣社員10人を直接雇用のアルバイトに切り替えた。担当者は「派遣会社への手数料がいらないので人件費は安くなり、逆に手取り給料が増える。定着率も高まった」と話す。

 ただ、直接雇用への切り替えの大部分は、アルバイトや期間工などで、正社員との待遇の差は大きい。派遣社員らで作る労働組合「派遣ユニオン」は「09年問題を機に、同じ会社で同じ仕事をしているのに待遇が違うという差別を抜本的に解消すべきだ」と指摘する。

2008年11月4日火曜日

派遣依存社会/上 「生産調整」で突然解雇も

 ◇消費低迷招き企業も打撃
 「重く受け止めている。春闘で努力はしたい」。東京都内のホテルで9月10日、二階俊博経済産業相から賃上げを要請された日本経団連の御手洗冨士夫会長はこう答えざるを得なかった。御手洗会長は3月にも福田康夫首相(当時)から賃上げを求められている。度重なる政府からの要請は、消費低迷の一因が賃金抑制にあるとみられているからだ。

 東証1部上場企業は08年3月期連結決算で5期連続で過去最高益を更新した。好業績を支えたのがリストラによる人件費の削減。しかし、派遣労働の積極活用と正社員の抑制は、バブル崩壊後の「就職氷河期」を生み出した。93年度から05年度までの有効求人倍率は1未満、正社員に限ると0・5前後の狭き門だった。

 規制緩和政策の代表例とも言われる派遣労働の原則自由化(99年)も流れを加速する。特に、04年の工場派遣自由化に製造業が飛びついた。売れ筋商品を一気に大量生産し、不人気になればすぐに製造中止。生産に合わせた雇用調整が簡単になり、働く側の立場はますます不安定になった。

 派遣先で7年間夜勤を続けうつ病になった埼玉県の女性(29)は、高校在学時の進路指導で担当教諭から「働ける場所があるだけ、うれしいと思え」と忠告された。この言葉が焼き付き、心身が不調になっても、昼間の勤務への変更を申し出ようとは思いもしなかったという。

 首都圏の大手電機メーカー工場で約2年間派遣労働していた男性(42)は、05年7月、生産調整を理由に中途解約された。退職金はない。スピード違反の罰金10万円を払えず「労役場留置で約2週間働いて返した」と振り返る。

 だが、人件費抑制のつけは「消費低迷」の形で企業側にも回ってきた。国内の新車販売台数は05年から3年連続で減少。07年はピーク時(90年)の約7割に落ち込んでいる。大企業の一部で派遣労働を直接雇用に切り替える動きは出ているが、全体の賃金水準を底上げする規模にはなっていない。「経済成長には賃上げが必要」と指摘してきた日本総研の山田久主任研究員は「日本は消費拡大に支えられる本格的な景気回復の好機を逸した」との思いを強くしている。

   ◇  ◇

 政府が99年の派遣労働の原則自由化から9年ぶりに方針を転換し、日雇い派遣を原則禁止する労働者派遣法改正案提出の準備を進めている。派遣労働の急速な拡大は、企業や労働者、社会に何をもたらしたのか。課題を検証する。

2008年11月3日月曜日

日本と中国、青年たちの傾向

2008年10月22日

資本主義国家の日本と共産主義国家の中国。日本ではネットカフェ難民という言葉が生まれるほど格差が拡大している。改革開放30年を迎えた中国では、個人主義や拝金主義が蔓延し、中国の伝統的概念や社会主義の代表的概念であるマルクス主義といった概念が薄れつつあるという。このブログは日中間の青年たちの傾向を考察したものである。写真は中国で行われたモーターショーの様子。中国では拝金主義が蔓延しているという。

 報道によると、日本共産党には毎月1000人ほどの日本人青年たちが入党しているほか、「革命への情熱」を持った人々によるデモ活動の発生率はますます上昇しているという。日本人たちの「左翼的運動」は、不安定な日本社会に対する失望を現している。

関連写真:そのほかの中国で報道されている日本に関する写真

  世界第二位の経済規模を誇る日本は、長きに渡って新興資本主義国家として見られていた。しかし、共産主義が新しい潮流として台頭しつつあり、若い日本人たちの蓄積した不満が日本の前景を変えつつある。

  日本共産党が言うところによると、「現在、日本人の青年たちの3割は臨時的な仕事しかない。彼らには権利も安全保障も未来もない」そうである。

  共産党の吸引力が増強しているもうひとつの裏付けとしては、小林多喜二の「蟹工船」の売れ行きである。2008年1月、蟹工船は突然、爆発的に売れ始めたというが、購入者の8割は青年たちだという。

  以上は日本の一部傾向である。では、共産主義国である中国の青年たちはどうかといえば、中国人青年たちの拝金主義はますます強まっている。

  改革開放以来30年、現代の青年たちは拝金主義、西洋崇拝主義や個人主義などの概念を持っている。素朴な中国伝統的概念やマルクス主義が徐々に消えかけてきている昨今、中国人青年たちは最も基本的な倫理や道徳、善意を失いつつある。

  時間の経過とともに、中国人青年たちは改革解放真っ只中の社会に同化し、汚れ、利己的で冷酷になってきている。個人主義と拝金主義がはびこり、権力と金が何よりも重要、中国人青年たちの目標といえば、出世して財を成すことなのだ。

  個人主義や拝金主義は徐々に体を蝕む麻薬のようなものであり、中華民族の魂や中華民族の未来を徐々に侵食する劇薬なのである。

2008年11月2日日曜日

【個室ビデオ店火災】“個室店難民”、再起半ば絶たれた希望

2008年10月3日

 大阪・難波の個室ビデオ店「試写室キャッツなんば店」で起きた火災は、同種の店がホテル代わりに利用されている実態を浮き彫りにした。現場となった店は、終夜過ごしても1500円程度という業界でも屈指の低価格が売り。犠牲になった15人のうち、介護ヘルパーの舞野学さん(49)は、この店に泊まることで家賃を切り詰めて資格取得に励んでいたという。3日午後には舞野さんの葬儀が営まれ、参列した同僚らは「きちんとした家を借りていれば…」と、志半ばで人生を終えざるを得なかった無念さを思いやった。

 舞野さんが倒れていたのは店の最奥部にある32号室前の通路。この店がなぜ、舞野さんにとっての“最終地”になってしまったのか。

 舞野さんは、かつて代表を務めていたアクセサリー卸会社が倒産。多額の債務を背負いながら、新たな人生を歩むためにヘルパー2級の資格を取り2年前、大阪市浪速区内の訪問介護会社に再就職が決まった。「ケアマネジャーになる」という夢もあった。

 舞野さんは当時、市内の別の場所に住所地があったが、借金の取り立てに苦しめられた。舞野さんが家賃を切り詰めるために選んだのが、ネットカフェや個室店に寝泊まりする生活。その一つが職場に近いキャッツなんば店だった。

 「そろそろ家を借りたらどうか」。事件の数日前、連日のようにビデオ店に寝泊まりしていることを心配した同僚がこう切り出したが、舞野さんは「なかなか難しい。近いうちに」とはぐらかした。同僚は「もっと強く説得するべきだった」と悔やむ。

 個室ビデオ店は1時間ごとの料金が基本だが、店舗が集中する大阪のキタやミナミの繁華街では一晩中滞在できるような割引価格設定をめぐり、熾烈(しれつ)な競争が繰り広げられている。ミナミでの相場は2000円前後。ネットカフェでは5時間のナイトパック(個室)でも3000~1500円で、個室ビデオ店のほうが安い。このため終電に乗り遅れた会社員や家を持たない「ネットカフェ難民」と呼ばれる若年層の利用も増加。宿泊施設としての利用がメーンになっている。

 火災の起きたキャッツグループは「日本一の安さ」がスローガン。1泊シャワー付きで1500円の料金設定は大手個室店に比べても割安で、全体の相場を下げたとの声もある。ただ安さの裏側でなんば店では老朽化が目立っていたという。

 常連の男性客(31)は「近くのライバル店がリニューアルされ、若い客がそちらに奪われた。最近では日雇い労働者風の年配客が多かった」と話した。

 ワーキングプアの問題に詳しい「派遣ユニオン」の関根秀一郎書記長は「日雇い派遣の労働者が、『個室ビデオ難民』になっている。雇用対策がきちんとされない限り、今後もこういう店は増え続けるだろう」と指摘している。

2008年11月1日土曜日

盗み繰り返した“ネットカフェ難民”逮捕

2008年10月2日

 千葉県警市川署は2日、生活費に困るたびに盗みを繰り返したとして、窃盗の疑いで住所不定、無職山口正樹被告(35=公判中)が逮捕、起訴されたと発表した。

 調べでは、山口被告は、インターネットカフェに寝泊まりする“ネットカフェ難民”で、利用料金も盗んだ金を充てていた。これまでに同県や都内で、1回につき生活費程度の盗みを約70回繰り返していたことが確認され、犯行に使うドライバーから暇つぶしに読みふけるマンガ本まで調達したという。

 調べによると山口被告は6月中旬、JR市川駅近くの居酒屋から現金1000円などを盗んだ疑いで逮捕された。余罪を追及したところ、詳細に記憶。4月中旬には、市川市内の美容室に侵入、現金2000円とマンガ本12冊のほか、窓をこじ開けるのに必要なドライバー1本まで失敬し、その後の犯行に使ったという。(

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